DAY 07

試算表の作成と活用

May 2026 - Bookkeeping Course

月末を迎えたBloom。Harukaさんは1ヶ月分の仕訳帳と元帳を前に、
「この数字、どこか間違えてないかな…」と不安になっています。

そこで使うのが試算表(TB)——帳簿の「健康診断」のような存在です。
転記ミスを早期発見し、月次の経営状態を一枚で把握する力を身につけましょう。

なぜわざわざ「試算表」を作るの?決算でまとめればよくない?
1年分ためてから間違いを探すのは、1年分の針の山から1本の針を探すようなもの。
毎月1回試算表を作れば、ミスを1ヶ月以内に発見できます。
さらに経営者への月次レポートとして、売上・利益・現金の今を一目で伝えられます。
🧑
試験問題に「TB」って書いてあったんですが、これって何ですか?
👩‍🏫
Trial Balance Sheet の略です。試算表のことですよ。
試験の下書き用紙でもよく使われる略称なので、TB = 試算表と即反応できるようにしておきましょう。

「試算表の3種類を作成し、ミスの検証と経営判断に活かせる」

合計・残高・合計残高の3つの試算表を作成し、二重仕訳の消し込みや明細表作成まで対応できる力と、
試算表から経営の異常値を読み取る実務力を身につけます。

本日の学習マップ

Day 7は「帳簿を集計・検証し、経営判断に活かす」を学びます。簿記の一連の流れのうち「決算整理前の確認」にあたる重要ステップです。

日々の仕訳 仕訳帳へ記録
転記 総勘定元帳(T勘定)
試算表の作成 合計・残高・合計残高
貸借の検証 借方=貸方で確認
経営判断へ 売上・利益・現金を読む

AI Director's Eye:会計ソフトとTBの自動生成

freeeやマネーフォワードでは、仕訳を入力するだけで残高試算表が自動生成されます。ただしAIが生成した試算表でも「現金残高が異常に多い」「利益率が急変している」などの異常値を発見して意味を説明できるのは人間の仕事。今日学ぶ「試算表の読み方」はAI時代の経理の核心スキルです。

Harukaさんは6月分のT勘定を広げ、試算表を作り始めました。
「合計を書くの?差額を書くの?どっちが正しいんだろう…」

実は試算表には3種類あって、どれを作っても借方合計と貸方合計は必ず一致します。
そして問題文の資料が「項目別」か「日付別」かで、解き方がガラリと変わります。

セクション1:試算表の3種類と作成手順

試算表3種類の比較

① 合計試算表
借方合計 / 貸方合計
各T勘定の合計をそのまま転記。転記ミスを見つけやすい。
② 残高試算表
差額(残高)のみ記入
B/S・P/Lに近い形。現在の各科目の残高が一目でわかる。
③ 合計残高試算表
合計 + 残高の両方
情報量が最多。①②のメリットを兼ね備えた実務で最も使われる形式。
貸借平均の原理:仕訳と転記が正しければ、どの試算表でも借方合計=貸方合計は必ず一致する。一致しない場合はどこかにミスあり。
基礎概念

試算表とは何か:目的と3種類の使い分け

試算表(TB)の役割

  • 目的:仕訳帳→総勘定元帳への転記ミスを検証するための集計表。
  • 作成時期:通常は月次(1ヶ月ごと)または期末決算時。
  • TB = Trial Balance Sheet(試験の下書きでよく使われる略称)。
  • どの種類を作っても借方合計=貸方合計が成立すれば転記は正しい(貸借平均の原理)。
最重要

T勘定から試算表へ:集計作業の手順

集計の3ステップ

  • Step1:各T勘定の借方合計・貸方合計を計算する(合計試算表の数値)。
  • Step2:差額(残高)を計算し、大きい側の欄に記入(残高試算表の数値)。
  • Step3:合計と残高の両方を記入(合計残高試算表)→最後に貸借合計が一致するか確認。
  • 前月末の試算表残高は、次月のT勘定のスタート金額として最初に書き写すこと(忘れがち!)。
試験頻出

二重仕訳の消し込みと売掛・買掛明細表の作成

2パターンの対策を分けて覚える

  • 【項目別パターン】→ 重複取引(二重仕訳)に注意。金額が一致する取引を両グループから探してバツで消してから仕訳。
  • 【日付別パターン】→ 二重仕訳は発生しない。その代わり売掛金・買掛金明細表の同時作成が必要。仕訳に「会社名」を書き添えるのが必須。
  • 最終確認:「残高試算表の売掛金残高=明細表の各社合計」が一致すれば正しい。
🧑
項目別の問題で、同じ取引が複数グループに出てきます。どれを消せばいいか迷います…
👩‍🏫
まず金額が一致するものをペアで探します。「現金による仕入れ300円」と「仕入れ代金の現金支払い300円」は同じ取引なので、どちらか一方を消します。
消す前に「これは同じ取引か?」と必ず自問する癖をつけましょう。

実習:試算表の作成を問題で確認

3本の動画をNotebookLMに読み込ませ、T勘定からの集計・二重仕訳の消し込み・明細表作成の手順を整理しましょう。

NotebookLM へのソース追加手順

  1. notebooklm.google.com にアクセスし「新しいノートブック」を作成
  2. 画面左の「ソースを追加」をクリックし「YouTube」または「URL」を選択
  3. 動画① https://www.youtube.com/watch?v=TqX3L-HbPEU を追加
  4. 動画② https://www.youtube.com/watch?v=ibMfbGE8F-w を追加
  5. 動画③ https://www.youtube.com/watch?v=O0QkZ6yHkgQ を追加
  6. 追加完了後、下のプロンプトをコピーして選択式テストを作成する
読み込んだ動画①〜③の内容をもとに、Day7前半(試算表の目的・合計/残高/合計残高試算表の作成方法・貸借平均の原理・T勘定からの集計手順・項目別パターンの二重仕訳消し込み・日付別パターンの売掛金買掛金明細表の作成)の理解度を確認する選択式テストを20問作ってください。各問は4択にし、解答は最後にまとめて表示してください。
「項目別に取引が与えられた場合の試算表作成」に特化した演習問題を3問作ってください。各問に重複取引(二重仕訳になる部分)を含む資料を設定し、消し込みの手順・仕訳・T勘定転記・試算表集計の解説を示してください。
NotebookLM を開く

Harukaさんが完成した試算表を眺めています。
「数字は合ったけど……これ、どう読めばいいんだろう?」

試算表は「作ること」だけがゴールではありません。
売上・利益・現金の3点から異常を読み取る力が、経理の本当の価値です。

セクション2:試算表を経営判断に活かす

試算表チェックの3ポイント

📈
① 売上高
前月・前年同月と比較。変動の理由を説明できるか?
💰
② 利益(率)
利益率が急変していないか。原価の発生タイミングにズレはないか?
🏦
③ 現預金
現金残高が異常に多い/少ない場合は要注意。売掛金の滞留を確認。
黒字倒産に注意:利益が出ていても現預金がゼロになれば会社は倒産する。キャッシュの残高チェックは最重要。
実務応用

試算表から読み解く経営分析と異常値の発見

経理の「読み解く力」

  • 売上:単月だけでなく前月・前年同月と比較し、変動の理由を説明できるようにする。
  • 利益率:業種が変わらなければ利益率は安定。急変した場合は原価の発生タイミングのズレを疑う。
  • キャッシュ:現金残高の異常な増加は「管理できていない証拠」。売掛金の滞留や不適切な資金流出も確認する。
  • ※ この動画は試験範囲外の実務知識も含みます。経理職を目指す方向けのプラスアルファ学習です。
実務の落とし穴

脱どんぶり!ダメな試算表のパターンから学ぶ

よくある2大NG

  • NG①:試算表が古い→ 理想は翌月7日まで。15日を過ぎると銀行融資審査で「管理がずさん」と判断される。
  • NG②:現金主義で計上→ 支払ったタイミングではなく使った月に費用を計上する「発生主義」が正しい月次損益を生む。
  • 減価償却費は年1回ではなく年間見積もりを毎月1/12ずつ前倒し計上するのが実務のベストプラクティス。
  • ※ この動画は試験範囲外の実務知識も含みます。
🧑
試算表って「正しいかどうかチェックするだけ」のものじゃないんですね。
👩‍🏫
そうです。作れることは最低条件。
「なぜこの数字になったのか」を説明できる経理が、経営者から信頼されるパーソナルトレーナーになれます。AIが集計を自動化する時代だからこそ、読み解く力が経理の差別化ポイントですよ。
✍️ DAY 7 の核心

試算表は「作ること」がゴールではない——
数字の異常に気づき、理由を説明できる力が、経理の本当の価値。

実習:試算表の活用と経営判断を深める

動画④⑤をNotebookLMに追加し、試算表から読み取るべき経営指標と、実務でよくある試算表の落とし穴を整理しましょう。

NotebookLM へのソース追加手順

  1. notebooklm.google.com にアクセスし、前半と同じノートブックを開く
  2. 画面左の「ソースを追加」をクリックし「YouTube」または「URL」を選択
  3. 動画④ https://www.youtube.com/watch?v=Wqkafa3IxqY を追加
  4. 動画⑤ https://www.youtube.com/watch?v=WQ2fMu3K81s を追加
  5. 追加完了後、下のプロンプトをコピーして問いかけ問題を作成する
読み込んだ動画④⑤の内容をもとに、「試算表から読み取るべき3つのチェックポイント(売上・利益・キャッシュ)」「現金主義と発生主義の違い」「試算表の鮮度(作成タイミング)の重要性」「月次で減価償却を前倒し計上する理由」について、それぞれ3問ずつ合計12問の選択式テストを作ってください。各問は4択にし、解答は最後にまとめて表示してください。
「Bloomの試算表を見たら、現金残高が先月の3倍になっていた」「売上は先月より増えているのに利益率が大きく下がっていた」という2つのシナリオについて、考えられる原因と経理としての対応策を各シナリオ200字程度で説明してください。
NotebookLM を開く

完成した試算表をHarukaさんが眺めています。
借方と貸方がぴったり一致したとき、小さな達成感が生まれました。

ミスをゼロにする地道な作業が、経営判断の土台を作る。
Bloomの帳簿は今日も正直に、1ヶ月の軌跡を刻んでいます。

DAY 7 まとめ

試算表は「転記の健康診断」

仕訳→元帳への転記ミスを月次で発見するための集計表。合計・残高・合計残高の3種類がある。

貸借平均の原理

どの試算表を作っても、転記が正しければ借方合計=貸方合計が成立する。一致しなければどこかにミスあり。

二重仕訳と明細表:2パターン対策

項目別→重複取引を消し込んでから仕訳。日付別→二重仕訳なし、売掛・買掛明細表を同時作成。

試算表で読む経営の3点

売上(比較)・利益率(変動確認)・現預金(異常残高チェック)。数字の異常に気づき説明できることが経理の価値。

重要用語チェック

試算表(TB)Trial Balance Sheet の略。仕訳帳から元帳への転記ミスを検証するために作成する集計表。
合計試算表各勘定科目の借方合計・貸方合計をそのまま集計した試算表。転記ミスを見つけやすい。
残高試算表各勘定科目の借方残高または貸方残高(差額)を集計した試算表。各科目の現在残高が一目でわかる。
合計残高試算表合計と残高の両方を記入する試算表。情報量が最多で実務で広く使われる。
貸借平均の原理複式簿記において、正しく仕訳・転記されていれば借方合計と貸方合計は必ず一致するという原理。
総勘定元帳(T勘定)勘定科目ごとに仕訳帳の内容を整理する帳簿。T字型の形式で借方・貸方を記録する。
二重仕訳項目別の取引資料で同一取引が複数グループに重複記載されること。消し込み処理で排除する。
消し込み二重仕訳になる重複取引を発見し、片方をバツで取り消して重複を排除する作業。
売掛金・買掛金明細表得意先・仕入先ごとの個別残高を管理する表。残高試算表の総額と明細合計が一致することで自己検証になる。
発生主義支払いタイミングにかかわらず、費用が発生した月に計上する考え方。正確な月次損益の基礎。
現金主義実際に現金が動いたタイミングで収益・費用を記録する方法。月次損益が歪むため実務では不適切。
月次試算表1ヶ月ごとに作成する試算表。理想は翌月7日まで完成。経営者への月次レポートとして機能する。

セルフチェック

  1. 合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の違いを、「何を記入するか」の観点で説明できますか?
  2. 「現金による仕入れ500円」が仕入グループと現金グループに両方記載されていた場合、これが二重仕訳と判断し、どちらかを消し込んでから仕訳できますか?
  3. 試算表の現預金残高が先月の3倍に膨らんでいた場合、何を確認しますか?(社長による現金の個人的な持ち出し増・売掛金回収遅延・記録ミスなどを疑う)

確認クイズ(全5問)

今日の試算表・二重仕訳・経営判断の理解度を確認しましょう。

次回予告:Day 8

(Day 8 の内容確定後に記入)