DAY 08(前半)

決算整理仕訳と財務諸表の作成

May 2026 - Bookkeeping Course

Bloom経理部に決算本番の朝が来た。Harukaさんは前TB(前残高試算表)を広げ、決算整理仕訳を1つずつ確認しています。
「仕訳は分かってきたけど、これを損益計算書と貸借対照表にどう落とし込めばいいんだろう…?」

今日は決算整理仕訳9論点を2問の演習で攻略し、P/L・B/Sを自力で完成させます。

決算整理仕訳って、なんでわざわざするの?売上と仕入れで十分じゃないの?
日々の仕訳は「発生した取引」を記録するだけ。でも期末には「期をまたぐ費用・収益の調整」「資産の実態への修正」が必要。
決算整理仕訳なしでは、P/LもB/Sも正確な経営実態を映せない。正しい決算書 = 正確な税金 = 会社の信頼につながる。
🧑
P/Lには"売上原価"って書くのに、仕訳帳には"仕入"って書いてある。これって別の科目ですか?
👩‍🏫
同じ内容です。財務諸表に転記するときだけ表示名が変わります。"仕入"→"売上原価"、"繰越商品"→"商品"など、P/LとB/Sで使う表示名への読み替えルールをしっかり覚えておきましょう。

「決算整理仕訳9論点を完全消化し、P/L・B/Sを自力で完成させる」

現金過不足・当座借越・貯蔵品・貸倒引当金・減価償却・売上原価・見越し繰延べ・消費税・法人税等の9大論点を2問の演習で習得します。

本日の学習マップ

Day 8前半は「決算整理仕訳→財務諸表作成」を学びます。簿記3級の集大成となる実戦演習です。

前TB確認 決算整理前残高試算表
決算整理仕訳 9論点
仕訳をP/Lに転記 表示名に読み替え
仕訳をB/Sに転記 評価勘定の配置
繰越利益剰余金 前TB残高+当期純利益

AI Director's Eye:決算仕訳とAI補助

freeeや弥生会計は決算仕訳を自動提案しますが、19ヶ月の保険料のような複雑な経過勘定は人間がロジックを理解していないとAIの提案を正しく採否できません。今日の演習はAI補助を賢く使いこなす判断力の訓練です。

「先生、設問①から⑩まで全部仕訳できました!でも損益計算書の"売上原価"の欄に何を書けばいいか分からないんです…」

表示名の変換がボトルネックになっているHarukaさん。

セクション1:問1 財務諸表の基本

P/L・B/S 表示名変換テーブル(最重要)

勘定科目(前TB) P/L表示名 B/S表示名 注意点
仕入売上原価決算整理後の仕入残高
売上売上高売上高として表示
繰越商品商品B/Sでは商品
貸倒引当金直下マイナス評価勘定
減価償却累計額直下マイナス評価勘定
仮受/仮払消費税未払消費税相殺後差額
仮払法人税等未払法人税等中間納付差額
繰越利益剰余金繰越利益剰余金前TB+当期純利益
評価勘定:貸倒引当金・減価償却累計額は対象科目の直下にマイナス表示。B/S金額は「残高」(補充額ではない)。
最重要

決算整理仕訳9論点 & P/L・B/S 作成演習

3ステップで解く

  • 前TB→決算整理仕訳→P/L・B/Sの順で解く
  • 勘定科目のまま書かず、P/L・B/S上の表示名に読み替える
  • 当期純利益=収益合計−費用合計。繰越利益剰余金は前TB残高を加算
  • P/LとB/Sの貸借が一致しなければ仕訳ミスあり

演習問題1:全仕訳と計算ロジック解説

現金過不足 / 前期貸倒れ回収

仕訳:(借) 現金 20,000 / (貸) 償却債権取立益 20,000

転記:B/S[現金] 108,000+20,000=128,000 / P/L[償却債権取立益] 20,000

前期以前の貸倒れ回収は「償却債権取立益」。当期貸倒れ取消しとは処理が異なる。

固定資産売却・減価償却

仕訳:(借)仮受金270,000 / 車両運搬具減価償却累計額180,000 / 減価償却費75,000 / 固定資産売却損15,000 / (貸)車両運搬具540,000

転記:減価償却費75,000(540,000×1/6×10/12)/ 売却損15,000(帳簿285,000−270,000)

帳簿価額=540,000−180,000−75,000=285,000円。

貸倒引当金

仕訳:(借) 貸倒引当金繰入 4,000 / (貸) 貸倒引当金 4,000

転記:P/L[繰入] 4,000 / B/S[貸倒引当金] 4,800(売掛金直下・マイナス)

補充4,000円。B/Sは残高4,800円(240,000×2%)。

売上原価

仕訳:期首(借)仕入88,000/(貸)繰越商品88,000 → 期末(借)繰越商品104,000/(貸)仕入104,000

転記:P/L[売上原価] 1,284,000 / B/S[商品] 104,000

1,300,000+88,000−104,000=1,284,000円。

減価償却

仕訳:(借) 減価償却費 80,000 / (貸) 備品減価償却累計額 80,000

転記:P/L[減価償却費] 75,000+80,000=175,000 / B/S累計額 240,000

400,000÷5=80,000。②と合算してP/Lに175,000。

消費税

仕訳:(借) 仮受消費税 180,000 / (貸) 仮払消費税 130,000 / (貸) 未払消費税 50,000

転記:B/S[未払消費税] 50,000

見越し(収益)

仕訳:(借) 未収利息 3,000 / (貸) 受取利息 3,000

転記:B/S[未収収益] 3,000 / P/L[受取利息] 6,000

見越し(費用)

仕訳:(借) 支払利息 4,000 / (貸) 未払利息 4,000

転記:B/S[未払費用] 4,000 / P/L[支払利息] 14,000

300,000×4%×4/12=4,000円。

繰延べ

仕訳:(借) 前払家賃 60,000 / (貸) 支払家賃 60,000

転記:B/S[前払費用] 60,000 / P/L[支払家賃] 84,000

90,000×4/6=60,000円(翌期4〜7月分)。

法人税等

仕訳:(借) 法人税等 24,000 / (貸) 未払法人税等 24,000

転記:P/L[法人税等] 24,000 / B/S[未払法人税等] 24,000

中間納付なしパターン。

🧑
貸倒引当金の金額って、補充した4,000円をB/Sに書くんですか?それとも残高の4,800円ですか?
👩‍🏫
B/Sには残高4,800円を書きます。P/Lに計上するのが補充額4,000円。"P/Lは動いた金額、B/Sは残っている金額"と覚えておきましょう。

実習:問1をNotebookLMで確認

動画 NipSac5n6vE をNotebookLMに追加し、9論点を整理しましょう。

  1. notebooklm.google.com でノートブック作成
  2. 動画 https://www.youtube.com/watch?v=NipSac5n6vE を追加
動画の内容をもとに、決算整理仕訳の9論点について各論点3問、合計27問の4択テストを作成してください。解答は最後にまとめて表示してください。
B/Sの評価勘定(貸倒引当金・減価償却累計額)の表示方法について、正しい記載例と間違った記載例を対比して説明してください。
NotebookLM を開く

「問1は解けた!でも問2、保険料の計算が全然合わない…前TBの76,000円を12で割っちゃダメなの?」

西城社長のアドバイス:「前TBには何ヶ月分入ってるか、タイムテーブルを書いてみて」

セクション2:問2 難関論点の攻略

保険料19ヶ月のタイムテーブル(最重要)

期首再振替
4〜10月(7ヶ月)
当期費用
11〜3月(5ヶ月)
翌期繰延べ
4〜10月(7ヶ月)
前TB 76,000円=19ヶ月分(7+12)
月額 76,000÷19=4,000円
前払 28,000円 / P/L 48,000円

演習問題2:全仕訳と計算ロジック解説

仮受金整理

仕訳:(借) 仮受金 8,000 / (貸) 売掛金 8,000

転記:B/S[売掛金] 64,000−8,000=56,000

⚠️ 注意 設問④の貸倒引当金は56,000円を使う。64,000で計算すると誤答。
現金過不足

仕訳:(借)水道光熱費10,000 (借)雑損2,000 / (貸)現金12,000

転記:B/S現金預金合算 685,080 / P/L水道光熱費 34,000 / 雑損 2,000

帳簿161,080−実際149,080=不足12,000円。

当座借越振替

仕訳:(借) 当座預金 161,800 / (貸) 借入金 161,800

転記:B/S[当座預金] 0 / B/S[借入金] 281,800

貸倒引当金

仕訳:(借) 貸倒引当金繰入 2,800 / (貸) 貸倒引当金 2,800

転記:P/L繰入 2,800 / 受取手形下 3,600 / 売掛金下 1,680

176,000×3%=5,280。補充2,800。

⚠️ 注意 売掛金は①処理後の56,000円で計算すること。
売上原価

仕訳:期首138,000 / 期末128,000の繰越商品仕訳

転記:P/L[売上原価] 1,410,000 / B/S[商品] 128,000

減価償却

仕訳:建物18,000+備品48,000の2仕訳

転記:P/L[減価償却費] 66,000 / 建物累計 198,000 / 備品累計 144,000

貯蔵品

仕訳:(借) 貯蔵品 400 / (貸) 通信費 400

転記:B/S[貯蔵品] 400 / P/L[通信費] 8,600

保険料前払い

仕訳:(借) 前払保険料 28,000 / (貸) 保険料 28,000

転記:B/S[前払費用] 28,000 / P/L[保険料] 48,000

月額=76,000÷19=4,000円(÷12は誤り)。

法定福利費

仕訳:(借) 法定福利費 6,000 / (貸) 未払費用 6,000

転記:P/L 36,000 / B/S未払 6,000

法人税等(中間あり)

仕訳:(借)法人税等7,200/(貸)仮払法人税等2,400/(貸)未払法人税等4,800

転記:P/L 7,200 / B/S未払 4,800

確定7,200−仮払2,400=未払4,800。

✍️ DAY 8前半の核心

タイムテーブルを書かずに19ヶ月問題は解けない——
落ち着いて時間軸を整理する習慣が、難問を制す。

実習:問2の難関論点

問2の難関論点として特に重要な「保険料の前払い(毎年同額を特定日に前払い)」について、タイムテーブルを使った解き方を段階的に説明してください。
貸倒引当金の設定において、受取手形と売掛金をそれぞれ分けてB/Sに表示する場合の計算方法と記載方法を、演習形式で教えてください。

2問の財務諸表を完成させたHarukaさん。「P/LとB/Sが一致した!」——でも「この数字って、実際のビジネスでどう使われるんだろう?」

その答えはDay 8後半で学びます。

DAY 8前半 まとめ

決算整理9論点

現金過不足→当座借越→貯蔵品→貸倒引当金→減価償却→売上原価→見越し繰延べ→消費税→法人税等。

表示名の読み替え

P/Lは売上原価・売上高、B/Sは商品・前払費用・未払費用への変換を徹底。

評価勘定の配置

貸倒引当金・減価償却累計額は対象科目直下。B/Sは残高を記入。

19ヶ月の罠

毎年同額・同日前払いは前TBが再振替+当期支払の合算。タイムテーブル必須。

重要用語チェック

決算整理仕訳期末に帳簿を実態に合わせる修正仕訳。
前TB決算整理前残高試算表。
売上原価P/L表示名。決算整理後の仕入残高。
評価勘定貸倒引当金・減価償却累計額。直下マイナス表示。
差額補充法貸倒引当金の設定方法。
見越し計上未収・未払の計上。
繰延べ前払・前受の計上。
償却債権取立益前期貸倒れ債権の回収収益。
再振替仕訳翌期首の繰延・見越の戻し。
当座借越当座預金の貸方残高。借入金へ振替。

セルフチェック

  1. P/Lの「売上原価」は期首・期末繰越商品の仕訳から計算できますか?
  2. B/Sの貸倒引当金は「補充額」ではなく「残高」ですか?
  3. 毎年11/1前払いの保険料、前TBは何ヶ月分?(答え:19ヶ月)

確認クイズ(全5問)

決算整理仕訳と財務諸表の理解度を確認しましょう。

次のステップ:Day 8後半へ

作成したB/S・P/Lは、銀行が融資審査でチェックする7項目と、"数字に強い経営者"への道を後半ページで学びます。

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